中国家電大手・美的集団、「エンボディドAI」に参戦 店舗に人型ロボット導入へ

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人型ロボットに代表されるエンボディドAIへの関心が高まりを見せている。数々のスタートアップが誕生し、テスラを追って自動車メーカーの参入も続く。ブームは大手家電メーカーの美的集団(Midea Group)やハイアールグループ(Haier)、海信集団(ハイセンス)などにも波及し、人型ロボット関連の動向が相次いで発信されている。革新的な製品を開発して一気に飛躍を狙うスタートアップに対し、家電大手は資金力や人材、利用シーンで優位に立っており、こうしたメーカーの参入によりエンボディドAI分野に新たな変数と緊張感がもたらされている。

家電業界トップの美的集団も人型ロボット開発のためのイノベーションセンターを開設しており、先ごろ試作機を初めて公開した。このロボットは、音声による指示に従って握手やダンスができるほか、飲料を手渡す、ネジを締めるといった動きが可能だ。

美的集団は、人型ロボットの研究開発と家電のロボット化という2つの角度からエンボディドAIに取り組んでいる。人型ロボットについては、ロボット完成品のほか減速機、モーター、センサー、コントローラーなど重要部品を自社で開発する。

ロボットの利用シーンに応じてホイール走行型と2足歩行型を展開する。

工場での活用を想定して、同社は傘下の産業用ロボットメーカー「KUKA」と共同でホイール走行型のロボットを開発した。安定した作業や移動を実現するため、ベースには重量物搬送用AGVの技術を採用、工場のオートメーション化された生産ラインへのスムーズな導入を可能にした。このロボットは工場設備の維持管理や巡回点検などに活用され、設備の状況や消防設備の安全性、工場内の温度・湿度および騒音レベルなどのモニタリング、物品の搬送などの定型化された作業を担当する。

美的集団はこれまでに6カ所のモデル工場を開設し、産業用ロボットによるスマート化とオートメーション化を進めてきた。データによると、スマート化により労働生産性が28%向上、コストは14%低減し、納期は半分に短縮されたという。

人型ロボットの導入後は、製造プロセスをさらに柔軟にしてオートメーション化を進める計画だ。例えばネジ締めの作業では、人型ロボットの作業効率は人間とほぼ同等のレベルに達しているが、製品構造の差別化を図ることで生産効率のさらなる向上を模索し、工場への導入から維持管理までの総コスト(TCO)の最適化を進める。美的集団とKUKAが共同開発した人型ロボットは、今年5月に美的集団のスマート工場に導入されるという。

今年後半には店舗にも導入し、製品紹介やプレゼント配布、コーヒーの提供といった業務に当たる予定だ。実店舗で体験してもらうことで集客効果を狙っている。

美的集団の人型ロボット試作機

美的集団のコアビジネスである家電事業では、家電のスマート化とロボット化が大きなトレンドになるとみられる。同社の人型ロボットイノベーションセンターの責任者・奚偉氏は「家電のロボット化とは、スマート機能を導入して、受け身だった家電のサービスを能動的なものに変化させること」と指摘する。

美的集団では、まず基本的なエンボディドAIを家庭向けに展開し、家電とロボット技術を融合させ、冷蔵庫、オーブン、掃除機などのAI家電シリーズを打ち出す。そして、スマートホームの究極の姿に向け家電のAI化を実現し、人間の形を模したロボットなど新たなスマート機器を投入して、床の清掃や洗濯、整理整頓、食事の支度などさまざまな日常の家事をこなしてもらうことを計画している。

人型ロボットとAI家電が協力して働くようになれば、効率的で便利な未来型スマートホームが出来上がるかもしれない。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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