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中国の精密減速機メーカー「智同科技(Chietom Precision Transmission Technology)」の研究開発・生産拠点建設プロジェクトが、4月20日に北京経済技術開発区で始動した。総投資額約3億元(約60億円)、敷地面積約1万1000平方メートルにおよぶこのプロジェクトは、約2年の工期で、27年に稼働、29年にフル稼働を予定している。
新拠点は、研究開発、試験・測定、販売、管理本部などの機能を集約。産業用ロボットと人型ロボット向けの精密減速機のスマート生産ラインを建設し、ロボット伝達システムにおける統合的なソリューションの提供を目指す。
減速機はロボットの動力源とアクチュエーターをつなぐ中核部品で、その性能によりロボットの運動精度や耐荷重が決まる。産業用ロボットや協働ロボット、サービスロボット、産業オートメーション化などに多く使用され、人型ロボットでは多少の差はあるものの、通常は1台あたり20~30個の精密減速機が使用される。
減速機は、材料科学や精密加工、動的シミュレーションなどさまざまな技術と関わっており、研究開発や量産では、マイクロメートルレベルの精度や長期の耐久試験、複雑な環境での安定性など多くの難題を克服しなくてはならない。この分野では日本が世界的な先行国であり、ナブテスコが代表的な企業として長年にわたり市場の大部分を占めてきた。豊富な技術的蓄積と資本力を背景に、国際的な競争優位を保っている。
こうした状況のなか、智同科技は減速機の国産化を推進するべく2015年に設立された。ロボットのコア部品の研究開発・製造に注力しており、中国国内の減速機メーカーとしては現在、業界を代表する企業の一つにまで成長している。一方、チーフサイエンティストの張躍明教授はかつて、「中国ではRV減速機製造設備のうち約90%を輸入に頼っている。近年は中国国産の設備の開発もある程度進んでいるが、企業の需要を満たすには至っていない」と指摘した。
智同科技は北京工業大学と2016年に提携し、産業用ロボット向けのRV減速機分野で歯車の歯面形状修正、加工技術など難しい課題を克服して独自設計を実現。国産精密減速機の性能を世界レベルに引き上げた。24年には、RV減速機の切削加工用カッターと製造技術の国産化にも成功し、海外技術による独占状況を打ち破って生産効率を大幅に向上させた。
これまでに、サイクロイド、ハーモニックドライブ、精密遊星ギア、ハイポイドギア、ボールねじといった伝動技術に取り組んできた。複数回の資金調達を実施し、調達額は累計数億円(数十億円)にのぼる。中国の主要な産業ロボットメーカーのほぼ全社を顧客に持ち、埃斯頓自動化(Estun Automation)や滙川技術(Inovance Technology)、珞石機器人(ROKAE)などと提携しているほか、欧州や日本市場にも製品を提供している。
現在、海外市場からのカスタマイズの要望にも積極的に応じ、新型の精密減速機や関節モジュールなどを開発して、販売規模を急速に拡大させている。今後さらに欧州や日韓市場を中心に事業を拡大させ、今後3年で海外売上の構成比を15%に高める計画だ。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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