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中国の恋愛リアリティーショー「半熟恋人」シーズン4で、女性出演者が弦のない電子ギターで弾き語りを披露し、SNSの話題をさらった。
この独特な形のスマートギターは、スマート楽器ブランドのLiberLiveが打ち出す「LiberLive C1」で、ネック部分の9つのシリコンパッドにコードが割り当てられており、楽曲の進行どおりに光るシリコンパッドをタップするだけで正確なコードを演奏できる仕組みになっている。
LiberLive C1は2023年4月に発売され、天猫(Tmall)など各通販サイトの楽器部門で大ヒットした。米フロスト&サリバンによると、23年6月〜24年6月の世界のスマートギター市場で販売台数トップとなった。LiberLiveを運営する「未知星球科技(東莞)」の24年の売上高は10億元(約200億円)を超えたという。
未知星球を創業した唐文軒氏は、2016年にドローン大手DJIのアルゴリズムエンジニアの職を辞し、スマートデバイス業界で起業する道を選んだ。創業初期はロボットなどを打ち出していたが、どの製品にも目立った反響はなかった。無弦ギターの開発に取り組み始めた19年、そして製品を発売した23年に資金調達を模索したが、いずれも門前払いされてしまう。売上高が10億元を超えた24年以降になって、ようやく複数回の資金調達に成功している。
LiberLiveの前にも、スマートギターを打ち出す企業はあった。北京視感科技が2016年5月に発売したスマートギター「Poputar」はギター本来の形状や弦をそのまま残しており、弦を押さえるべき位置を光らせることで、効率的に演奏技術の向上を図る機能を備えている。
こうした従来のスマートギターとは違い、LiberLiveは完全に弦をなくして演奏方法そのものを一新した。外見はギターのようでいて全く新しい楽器「LiberLive C1」は操作が極めて簡単で、誰でも上手に演奏できるため、楽器初心者でもチャレンジしやすいのが特長だ。
ショート動画プラットフォームの「抖音(Douyin)」では、ギターの素養がないごく普通の人たちがLiberLiveの無弦ギターで流行りの楽曲を演奏する動画を投稿し、その動画がSNSで拡散されている。
昔ながらのギターは地道な練習とステージでの演奏に重点がおかれていたが、LiberLiveが切り込んだのは若者の「エモ(感情)消費」や「社交の場面」だ。デートやパーティ、ショート動画の撮影などで簡単に達成感を得られる表現方法を提供し、若者の心をがっちりつかんだ。
LiberLiveのチームは長期的視野に立った製品開発を続けている。一般的な新興デバイスメーカーが新製品の開発を急ぐのに対し、彼らは4年の歳月をかけて初代製品をブラッシュアップした。流行の「AI」を大々的に打ち出すことも、著名な投資会社の後ろ盾もなく、無弦ギターLiberLive C1を大ヒットさせた。
本当にユーザーの心を動かすのは、コンセプトでも技術でもなく、使いやすく楽しく達成感のある体験だとLiberLiveは教えてくれる。
(翻訳・田村広子)
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